Archive for 6月, 2012

浴室の壁

 住まいを建てる時、やはり、「自分らしさ」や「自分たちの家族らしさ」をどこかに表現したいと思います。

ある人は、自分でどうしてもとこだわった無垢の杉板のフローリングであったり、ある人は、家族の存在が感じられる間取りであったりします。

私の友人は、御主人と行った旅行の思い出を壁に残すことにしました。もう20年前になりますが、京都山科に行きました。山科に観修寺という寺院があります。そこに「観修寺氷池園」という池のある庭園がありますが、夏にはそこに睡蓮の花が咲きます。御主人とそのお寺の前を通った時、僧侶が、「今、睡蓮の花が咲いています。どうぞ、ご覧ください。」と言われたそうです。そこで、庭園内に入ると、今、まさに開いた睡蓮を見ることができました。彼女は。その時の感激を「自分は熱心な仏教徒ではないけれど、あの睡蓮が咲いている光景を見て、極楽って、こんなところかな。」と語っていました。その写真をモザイク画にして、1センチ四方のタイルで、モザイク壁画にして、浴室の壁の一部にしました。住まいの中庭には、睡蓮鉢を何個か置いて、睡蓮を植えていますが、お風呂に入る時は開花していないので、モザイク画にしたそうです。

あの頃は、不妊治療中で、一番つらい時期だったそうです。そんな時に、御主人が気分転換に京都旅行に誘ってくれました。

結局は、子どもは授からなかったけれど、どんな結果になっても、夫婦二人で生きていこうと思えた旅行でした。お風呂に入るたびに、夫婦の原点に戻れるような気がするそうです。夫婦や家族には、その数だけ歴史があります。住まいも又、家族の数だけさまざまな形があります。それでこそ、愛着ある自分達らしい我が家になっていくのです。